11月16日 (月) 機密費こそ事業仕分けの対象にすべきでは
民主党が党の威信をかけて行う行政刷新会議による事業仕分けが始まった。 既に3日の日程が終了し、予算カットや基金返納などの成果が見られる。 一連の会議が一般市民にも見られるということで国民の関心も高いようだ。 会場である都内の体育館に足を運ばなくてもネットで配信される映像で臨場感を味わえるというのは 非常に効果が絶大である。 また、今まで公開されることのなかった官僚vs議員の対立の構図や論戦が見られたことは 僕にとっても非常に参考になった。
本当に、いろいろな税の無駄遣いがあったものである。 3日目に取り上げられたメールによる就職相談に関する事業は圧巻であった。 http://www.youtube.com/watch?v=XbYeD8ybXlA 1日に20人で50通程度のメール対応をするだけで数億の予算が費やされ、 業務に携わる人間は約500万円程度の報酬を得ていたというものである。 これには本当に口をあんぐりと開けざるを得ないわけだが、 それはそうとして、僕はこのときの報道を見て別のことを感じたのである。
仕分け人と呼ばれる方々は、どういう人たちなのだろうか。
呆れた感が表情に出ることは人間だからあるだろうと思う。 しかし、なんだかヤケに上から目線の物言いではなかろうか。 その場に居合わせた官僚ないし事業の遂行者たちは確かに給料をもらっているという点では この事業への直接的な関与はあるわけだが、この事業を作った責任者ではないはずだ。 旧与党の人間や天下りした官僚を目の前にし苦言を呈するというのなら理解できるのだが、 小物相手にこんだけナマの表情を見せてしまうというのは、上目線すぎて正直怖い。 こうした映像を見るたびに、この政権の底の浅さが明らかになるような気がする。
YouTubeを使い、記録された各地方での事業仕分けの模様なども私は見た。 建物を守る公務員たちがロクに自分の管轄事業について説明できない姿には閉口したが、 この仕分け人と呼ばれる人たちの、採算至上主義的な議論の展開に気持ちはついていけなかった。 僕が甘いのかもしれない、無駄な税金を削るということはお情けなど挟んではいけないことなのかもしれない。 でも、僕はあまりいい気持ちを持たなかった。 普通では見られないものを見せることのインパクトはあった。 しかし同時に、見せなくていいものまで見せてしまっているような気がする。 どうせ見せるなら、厳格な仕分け振りだけでなく、もっと別の形での国民感情のゆすぶり方も 加えたほうが効果的だったように思う。 犯罪者を次から次へと裁き、罪科を言い渡す場を見せられている気がした。
なんだか一方的に攻めるだけ攻め、相手の言い分には耳を貸さない印象が僕には強いのだ。 蓮舫議員と独立行政法人「国立女性教育会館」の神田道子理事長とのやり取りが一例である。 http://www.youtube.com/watch?v=LFvyePeEOhE
蓮舫議員は僕も過去に同じ番組をやっていたから分かるが、非常に正義感が強く聡明な方だ。 1度演説を聞いたことがあるが、話もものすごく上手な才女である。 報道で流された部分は一部であり、もちろん情を書けた話し方もしたのだろうとは思う。 しかし、「一方的」と言われるようなやり方をしてしまったことは事実である。 長年にわたりマスコミで生きてきてマスコミの利用の仕方も熟知しているだろう彼女が、 なぜこのような自分の表し方をしたのか、非常に残念である。 語られた内容を判断に加味するかどうかは別として、 話させてあげないと遺恨が残る、独断的だと思われる。 おそらく「予算を最低でも削ることありき」だったから、こういうことになったのだろう。 これは決していいことではないように僕は思う。
だいたい、この事業仕分けというのは意味があるのか僕は知りたい。 予算を削るor残す際の基準がよく分からないし、 事業ごとに削減・廃止を宣告使用とも、法的には権限がないということであれば、 ただ壮大なるディベート大会をお茶の間に見せているだけのことではないのだろうか。 廃止をするにしても、「こうしたことを説明する準備をしてきてください」とあらかじめ事業者に伝え、 それでも十分な回答をすることができないというのであれば予算の見直しを伝えるという運びは できなかったのであろうか。
だいたい、この事業仕分けというのは意味があるのか僕は知りたい。 予算を削るor残す際の基準がよく分からないし、 事業ごとに削減・廃止を宣告使用とも、法的には権限がないということであれば、 ただ壮大なるディベート大会をお茶の間に見せているだけのことではないのだろうか。 廃止をするにしても、「こうしたことを説明する準備をしてきてください」とあらかじめ事業者に伝え、 それでも十分な回答をすることができないというのであれば予算の見直しを伝えるという運びは できなかったのであろうか。
この作業に効力を持たせるためには、 やはり仕分け人の判定に法的な意味を持たせる法改正をすることが まずは必要だったように思う。 この法整備が整っていないようなので、 僕は少しエキセントリックな舞台を見ているような気分で全体を見ている。
また、本気で無駄な予算を削るというのであれば、 削りやすいところばかり対象にするのではなく、 思い切って約15億円規模といわれる官房機密費あたりから着手すべきだと思う。 野党時代は機密費流用防止法という法案まで国会に提出し、 使途の公開を約束していた党が、政権を取るや否や非公開にするとは、どういうことなのだ。 「事業仕分け」を成功させたいのであれば、まずは内閣として身を切るべきだろう。 そうすれば政府の本気さが茶の間にも伝わってくる。
そうでないのであればこの作業は、制作費に膨大な金(国民の税金)を費やして作った 単なるフィクションの芝居でしかないような気が僕にはする。
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2009/11 |
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