10月21日 (水) ギャップ
1年以上このページを更新していなかったのだが、 また動かし始めてみようと思う。
10月の第2週の週末に、私が勤める高校の文化祭があった。 3年生は受験を控えるので、事前の申し出をしない場合は個人の参加は禁止。 1学年とはいえ学生の姿がないならば、閑散とした学園祭になることも予想されたのだが、 当日は学校に入学を希望する児童や学生対象の入試説明会が催されており、 ものすごい数の来校者に見舞われ、秋の日差しの中で職員は大汗をかいての対応となった。 開校して3年の学校ではあるが、注目校としてマスコミに取り上げられた効果は 想像以上にプラスに働いているようだ。 今年度の記録によれば、初年度に納める学費は約100万円と決して安くはない。 インターナショナルコースでは168万円にもなる。 そうした中で入学を希望し一定の資格を得て通ってくる生徒たちに対し 講師は責任感を持たなければならないと強く感じた光景であった。
文化祭には卒業生もやって来た。 2年前に僕が教えた生徒たちも随分顔を出してくれた。 校内では話が尽きないので、お茶でもしに行こうと声をかけた。 浪人を経て大学に入学した子と、名前は分からないが常に廊下で挨拶をしてくれた子と 3人で軽食を取った。
いろいろな話の中で、卒業後の生活について尋ねてみた。 僕が名前を知らない生徒を仮にA子さんとしてみるが、 A子さんは都内でも有名な短大に入学したのだそうだ。 高校を卒業して2年。 もう半年もすれば社会人となるわけだ。 自然な流れの中、僕は来年4月からの就職先を尋ねてた。
まだ決まっていない、との答え。
しかも驚いたことに、彼女の所属するクラスは40人くらいの生徒がいるらしいのだが、 内定をもらっている生徒の数は全体の1割にも満たない3名だというのである。 正社員として就職することはここまで難しいのか、 企業はここまで冷え切っているのかと、頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
今週の月曜日に学校に向かう電車で東洋経済の中吊り広告を見た。 特集は本当に強い大学であった。 少子化のあおりをものとせず円滑な経営を行い 就職斡旋力を持つ大学のリストや特色が書かれているらしいので、 先日の卒業生の話も頭に強く残っていたので購入した。
就職活動は、いまや大学3年からでも遅いという言葉に目が留まった。 卒業2年前から始めても遅いということは、 たとえば短大に入学する生徒であれば、言葉通りに受け取れば、 高校時代から就職活動を始めろということだろう。 そんな馬鹿な。 しかし、それが現実というものなのかもしれない。 僕はその日の授業で、高2・高3の生徒にこの話をした。 つまり、早めに意思を持ち動きなさいと。 社会は甘くはないということを、僕の実体験も含め話をした。
今日の朝刊に、厚生労働省が発表したOECD加盟国の2007年「相対的貧困率」 についての記事があった。
1位メキシコ 18.4% 2位トルコ 17.5% 3位アメリカ 17.1% 4位日本 14.9%
日本は加盟国30ヶ国中4位なのだそうだ。 国民7人に1人は貧困、ワーキングプアなのだそうだ。 発表された数字は2年前のものであるから、現在はもう少し悪化しているだろう。 2009年8月発表の完全失業率は5.5%、 総務省の発表によれば、15~24歳の完全失業率(原数値)は9.3%と、 1年前に比べ1.4ポイント上昇しているらしい。
日本はいつからこの悪いループに入ってしまったのだろうか。 そこから脱却できる手立てはあるのだろうか。 若い労働力が求められているはずなのに、この逆行ぶりは何なのだろう。 あまりにも若者にとって夢のない世界が繰り広げられているように思う。 この部分に早急に着手しないと税収も上がらないだろう。 本当に困った事態だと思う。
と思いながら新聞をめくっていたら、 ページの4分の1を使って展開するカラーの広告が目に留まった。
「食欲の秋。究極の食べ比べを、あなたに」
松坂牛・神戸牛・米沢牛の中から好きな2ブランドを選んで お肉をお届けいたします、というものだったのだが、 価格を見てビックリ。
ヒレ(ステーキ用) 200g 19.500円 サーロイン(ステーキ用) 360g 22.000円 ロース(すき焼き用) 600g 23.000円
なんなのだ、この格差はw なんなのだ、この気持ちを逆なでする広告はw 一番安い「お試しセット(切り落とし)」で、10.000円だそうだ。
もちろん需要があって問題はないのだが、 すごく複雑な気持ちになったことは確かである。
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